お尻を大きくするためのアドバイスは、ネット上で毎月何千件も検索されている。お尻に特化したエクササイズを続けているのに結果が出なくて悩んでいる人は、そのくらい多いということ。そこで今回は、お尻を大きくしたい人が犯しがちな5つのミスをストレングス&コンディショニングコーチのアンディ・ヴィンセントが教えてくれた。イギリス版ウィメンズヘルスから見ていこう。

1.十分に食べていない

筋肉をつくるために必要なエネルギーは食べ物のカロリーから来る。「筋肉の増強は体の必須機能ではありません」とヴィンセント。「だから、もっと食べつつトレーニングを行って、意図的に新しい筋肉を作らなければならないのです」

筋肉の代わりに脂肪がつきそうで怖い? 「ポイントはリカバリーを促す程度に摂食量を増やすこと。食べすぎれば、エネルギーが余り過ぎて脂肪になってしまいます」

2.エクササイズの負荷を徐々に増やしていない

プログレッシブオーバーロード(漸進性過負荷の原則)は筋肉づくりの基本用語で、トレーニングの負荷を徐々に増やして筋肉を継続的に強くするプロセスのことを意味する。「重量や回数/セットで筋肉を追い込むと、それが筋肉をつくるために必要な刺激になります」とヴィンセント。

「トレーニングでは重量と回数を記録して、自分の進歩が分かるようにしてください。いつも同じ重量と回数でトレーニングをしていても、体には順応するものが何もないので、臀筋が大きくなることはありません」

「臀筋にかかる漸進性過負荷を効率よく増やすには、サーキット形式で短めの休憩を挟みながら大量のエクササイズをするよりも、長めの休憩を取りながら少なめのエクササイズをしたほうがいいですよ」

3.適切なエクササイズをしていない

インスタグラムには#gluteworkout(お尻のワークアウト)の付いた投稿が100万件以上ある。その中にはクラムシェルやヒップブリッジを勧めるものが多いので、つい真似したくなってしまう。米マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院の調査でも、私たちのフィットネスのルーティンは(デジタルの世界でも現実の世界でも)周囲の人の影響を大いに受けることが分かった。でも、ヴィンセントによると、お尻を大きくしたいなら、以下のコンパウンドエクササイズにフォーカスしたほうがいい。

・スクワット
・デッドリフト
・ルーマニアンデッドリフト
・ヒップスラスト

「ネット上には、似たようなエクササイズ、量ありきのエクササイズ、易しすぎるエクササイズが溢れています」とヴィンセント。「例えば、レジスタンスバンドを使ったラテラルウォーク(横歩き)、座った状態で行うヒップアブダクション、サイドクラム、ケーブル・ヒップアブダクションが同じワークアウトに詰め込まれていることもありますが、どのエクササイズも基本的に同じ動きなので、何十回と繰り返しても筋肉が漸進的に刺激されず、結果的に意味のないワークアウトになってしまいます」

「だから、エクササイズの量を減らして、量よりも質にフォーカスしましょう。1週間の中で、ハードな臀筋ワークアウトが10~16セット(4~5つのエクササイズを1セットとして、それを1週間の中で3回)行えるといいですね」

4.お尻以外の筋肉を使ってしまっている

筋トレのポイントは、俗に言う“マインド・マッスル・コネクション”(ターゲットの筋肉を意識して、それが使われてカッと熱くなっている状態をキープすること)にあるけれど、これは口で言うほど簡単なことじゃない。

「臀筋の主な働きは股関節の伸展・外転・外旋の3つですが、この動作には他の筋肉も必要なので、エクササイズの最中に、この他の筋肉で臀筋を補ってしまうことがあります」とヴィンセント。「エクササイズ中は常に臀筋を意識して、臀筋が使われているときの感覚を覚えてください。関節のポジションを少し変えるだけで大きな違いが生まれることもありますよ」

臀筋を使うコツ:
・ヒップスラストでは両足を少し前に出す
(足が体の真下にあると、臀筋の代わりに太ももが働いてしまう)
・ブルガリアンスプリットスクワットでは若干前かがみになる
(胴体が直立の状態では臀筋が熱くなりにくい)
・スクワットではつま先を少しだけ外に開く

5.有酸素運動をしすぎている

有酸素運動には心臓を強くするなどのメリットがあるので「一切するな」と言うつもりはないけれど、ヴィンセントの話では、有酸素運動をしすぎると筋肉の増強に使えるはずのエネルギーが枯渇してしまう。「有酸素運動を頻繁にしている人は、そこで消費されるカロリーを食事で十分補う必要があります」。体脂肪を減らしながら筋肉を付けたい場合は、カロリー管理が一段と複雑になるので「まずは、どちらか(体脂肪か筋肉の)1つにフォーカスする必要があるかもしれません」

でも、好きなことを諦めるのだけはダメ。有酸素運動を続けながらお尻を大きくしたい人は、モリモリ食べてカロリー収支が赤字にならないよう注意しながら体の様子を見ていこう。

※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Bride Wilkins Translation: Ai Igamoto